龍之介の「蜜柑」。
Booklogのレビューである方が、
電車でこれを読んでいて、思わず「わぁっ」と小さな声に出してしまった、と言うのに実はわたしは一番感動したような気がします。
どの部分に感嘆を漏らしたのかは書いてないけど、たぶんやっぱり何と言っても、この主人公が「刹那に一切を了解した」ところの描写でしょうね。
この主人公が目にした光景は、わたしにもとても微笑ましいものではあるけれど、この主人公ほど強い印象を受けることじゃなくて、主人公の心の動きに面食らった感じはしても、その感動を共にすることはなかった。
わたしは、レビューの方の純粋さのほうに打たれる結果になったわけでした。
考えてみれば、この主人公の心の動きはとてもドラマチックに変わるのです。それを見事に描写しているのです。純粋な心で見れば、感動して不思議じゃないんです。
龍之介の時代、今より貧富の差が激しかったのですね。
小説を書くような人たちというのは、やはりそれなりに良い暮らしをしていた人たちなわけで、小説に描かれるような話は、そういう人たちの目から見たものばかりだったんだな、なんて、そんなことがわたしには気にかかっていたりします。
でも、こんな場面を書きたいと思った龍之介って、やっぱりいい人だな♪
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